屋外階段の定義
実は、どのような階段が屋外階段としてみなされるかは、基準法と施行令では定められていません。
行政によって細かい違いはありますが、一般的な取扱いは「建築物の防火避難規定の解説」でまとめられています。
階段の2面以上、かつ、周長のおおむね2分の1以上が有効に外気に開放された階段は、令第23条第1項ただし書に規定する屋外階段として取り扱うことができる。なお、当該開放部分に腰壁手すりが設けられている場合にあっては、手すりの上部が高さ1.1m以上有効に外気に開放されている必要がある。
出典 : 37 階段 1)屋外階段と屋外避難階段の取扱い 建築物の防火避難規定の解説 2016 115ページ
周長の1/2以上を満たすように設計すると、自然と「2面以上」の条件はクリアします。(開放部が1面だけで、周長の1/2以上を満たす階段の形態が想像できません。)
開放部とみなされる箇所は、階段形態によって判断が分かれますが、次の3パターンに当てはめて考えておけば問題ないはずです。
(図 準備中)
また、手すり上部の開放部分の高さについては、1・1m以上だけでなく、当該階段の天井高さの1/2以上を確保することが求められることが一般的です。
開放部への格子等の設置は、可否が分かれる
運営者の経験では、開放部への格子等の設置は90%近くが不可能でした。
しかし、開放性を担保できるものとして、格子等の寸法や開放率を定めている行政もあります。
屋外階段及び開放廊下に防犯対策上、格子等を設ける場合は、格子等を設ける部分の開放性を損なうことのないよう配慮し、以下の条件を満足するものとする。
1.格子の見付面積の合計は開放部分(1.3m以上、かつ天井高さの5分の3以上の開放)の面積に対して20%以下とする。
2.開放廊下に設ける場合は、避難階に限る。
出典 : ⅱ-10 屋外階段及び開放廊下に設けることができる格子等 神戸市建築主事取扱要領 第4版 28ページ
>>>神戸市建築主事取扱要領(神戸市建築指導部のホームページ)
神戸市の例からも分かるように、防犯上の理由であれば仕方ないと判断している行政はちらほら見かけます。
また、プライバシー保護のための目隠しや、高層建築物の上階部分、強風・寒冷地域等における風防スクリーンなどの、使用上の支障を防ぐためである場合などは、緩和されているケースもあります。
(デザイン的に使用したい場合でも、これらの理由づけで認められたら設置可能ということも・・・)
屋外避難階段は、離隔距離を確保すること
屋外に設ける避難階段の場合は、隣地および当該建築物(又は同一敷地内の他の建築物)からの離隔距離を確保することも求められます。
こちらも、「建築物の防火避難規定の解説」で解説されています。
外気に開放された階段の部分が、その面する隣地境界線(公園、水面等に接するものを除く。以下同じ。)から50cm以上、かつ、同一敷地内の他の建築物又は当該建築物の部分(ドライエリアの擁壁等を含む。)から1m以上の距離を確保する必要がある。
出典 : 37 階段 1)屋外階段と屋外避難階段の取扱い 建築物の防火避難規定の解説 2016 115ページ
ひとつ注意しておいてください。
通常の屋外階段(=避難階段ではない屋外階段)であっても、行政によっては、開放性があると認める条件として離隔距離を定めていることがあります。
屋外階段とする場合、離隔距離の要否は確認してください
屋外階段のまとめ
開放性の考え方は、開放廊下にも通ずる一般的なものです。しかし、格子等の設置については、行政や審査機関によって判断が分かれることがあるので、事前確認が必須です。屋外階段の定義については、次のポイントを押さえておきましょう。
- 周長の1/2以上を開放部とする
- 手すり上部の開放部分の高さは、1.1m以上、かつ、天井高さの1/2以上
- 格子等の設置は、★絶対に事前確認が必要
- 避難階段でなくても、離隔距離が必要となる場合もある