工事監理の基本

工事監理は、建築士のおこなう重要な業務のひとつです。
・・・と言われても、未経験の方からすると、何から手をつければよいのか分からないと思います。
まずは、工事監理のキホンのキを押さえておきましょう。

工事監理の法的位置づけ

建築士法では、「工事監理」の意味がハッキリと示されています。

 この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
出典 : 建築士法第2条第7項

「それ(=工事)が設計図書のとおりに実施されている」とは、言い換えると、「確認申請で認可を受けた建築物が、申請どおりに完成するように工事がなされている」ということです。
つまり、工事監理の法的な位置づけは、「確認申請どおりに建築物ができあがっているかを確認すること」と言えます。

しかし、これだけでは工事監理にたずさわるプロとしては失格です。

専門的な職能をもつプロとして

「工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認する」だけであれば、工事監理の素人であってもできます。(少し極端な言い分ですが・・・)

そもそも、設計図書どおりに工事が進むことは、ほぼ100%あり得ません。
設計図書に軽微な問題があったり、施行誤差により納まりがつかないなど、何かしら問題が起こるのが現場です。

問題が起こったときには、「申請関係への影響」「工期」「建築コスト」「仕上がりの質」など、さまざまな制約がある中、ベストな解決策を考えなければいけません。
そんなときこそ、専門的な知識や技術をもつ建築士(=プロ)としてのチカラが求められるものです。

当サイトの運営者が考える「工事監理」は、次のとおりです。

工事監理とは

工事を設計図書と照合し、問題がないかを確認する。その上で、問題があれば、工事が円滑に進行するよう、総合的な観点から解決策を提案し、より良い建築物となるようにすること。

工事監理者としてチカラをつけるには

先にも述べたように、工事監理をするためには、総合的な観点から解決策を考えられるようにならなければいけません。
そのチカラをつけるために大切なことは、工事現場に足を運ぶことです。

建築士に求められる業務範囲が拡大している上に、一世代、二世代前とくらべると、申請業務の量はとてつもなく多くなっています。
また、それに伴い設計図書の種類や枚数も増えています。

現場から足が遠のき、事務所でひたすら図面とにらめっこをしているようでは、工事監理者としての成長はのぞめません。
図面ではなく、生(ナマ)の建築物をみることがいちばん勉強になるので、定例会議以外でも、意識的に現場に足を運ぶようにしましょう。

もちろん、工事監理の手引きや、国交省のガイドラインなどで勉強することも必要です。
下記に参考になる書籍や参考資料を紹介しておきます。

工事監理の基本のまとめ

階段の平面計画では、まず、令第23条で基本的な寸法を押さえて、階段のサイズを決めます。その後、令第120条・第121条の歩行距離・重複距離から、階段の配置を検討します。さらに、避難階段である場合は、開口部の仕様や離隔距離を確認しましょう。

工事監理の基本のまとめ
  • 法的位置づけは、「確認申請どおりに建築物ができあがっているかを確認すること」
  • 設計図書どおりに工事が進むことは、ほぼ100%あり得ない
  • ベストな解決策を提案できてこそ、工事監理者のプロと言える
  • まず何よりも現場に足を運ぶことで、チカラをつける

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