床面積の算定方法について、昭和61年に通達が公布されています。
>>>昭和61年4月30日住指発第115号 「床面積の算定方法について」
この通達における、「吹きさらしの廊下」の取扱いについて解説します。
吹きさらしの廊下における床面積の考え方
昭和61年4月30日住指発第115号では、次のように定められています。
外気に有効に開放されている部分の高さが、1.1m以上であり、かつ、天井の高さの1/2以上である廊下については、幅2mまでの部分を床面積に算入しない。
出典 : 昭和61年4月30日住指発第115号 「床面積の算定方法について」 (4)吹きさらしの廊下
上記の条件を満たす廊下については、十分な開放性を有し、屋外空間とみなし得ると考えます。
ただし、廊下の奥行きが深すぎると、自転車置場や物品の保管等の屋内的用途に用いる場合が想定されるため、幅2m(芯々)までという限度が決められています。
外気に有効に開放されている部分の取扱い
「外気に有効に開放されている部分」は、建築物の形態のみに左右される訳ではなく、隣地や同一敷地内の他の建築物(当該建築物の部分を含む)との位置関係にもよります。
そこで、一般的に次のような要件が定められています。
- 隣地境界線からの距離が、1m以上であること。
- 当該部分が面する同一敷地内の他の建築物又は当該建築物の部分からの距離が2m以上であること。
ただし、市街地の状況や土地利用の状況により、一律な取扱いが困難な面もあるので、特定行政庁が区域を指定して別の数値を定める場合もあります。
同一敷地内の他の建築物又は当該建築物の部分からの距離 2m以上(ただし、商業地域及び近隣商業地域にあっては1m以上)
また、プライバシー保護のための目隠しや、高層建築物の上階部分、強風・寒冷地域等における風防スクリーンなどの、使用上の支障を防ぐためである場合などは、その設置にかかわらず、外気に有効に開放されているとみなして支障ないとする向きもある。
目隠しルーバーや風防スクリーンの設置を検討している場合は、必ず行政もしくは審査機関に確認しておきましょう。
吹きさらしの廊下の床面積算定のまとめ
共同住宅の設計では、必ずと言っていいほど「吹きさらしの廊下」の取扱いがついてまわります。
床面積によっては、建築基準法における防火区画や、消防法における消防用設備の設置などの規制にかかわってきます。ムダをなくすためにも、吹きさらしの廊下の床面積を正確に算定できるようになりましょう。
- 開放部分の高さは、1.1m以上、かつ、天井高さの1/2以上必要
- 吹きさらしの廊下は、幅2m(芯々)までは床面積に算入しない
- 外気に有効に開放されている部分は、隣地から1m以上、同一敷地内の建築物から2m以上の離隔距離が必要
- 離隔距離は、特定行政庁が区域を指定して別の数値を定める場合もある
- 目隠しルーバーや風防スクリーンについては、行政もしくは審査機関への事前確認を